数奇にして模型読了

数奇にして模型 (講談社文庫)

数奇にして模型 (講談社文庫)

「動物とか人間を小さく作っても、それは単なるミニチュアだ。モデルではない。いいかね。模型が模するのは、形ではない。ものを作り出す精神と行為だ。人が生産する意欲と労力を模するのだ。それによって、その原型を作り出した人間の精神を汲み取る。しかしだ、まったく同じ工程を踏めば、それはレプリカになる。また、多くの精神に触れるには、製作時間をできるだけ縮小しなくてはならん。だから、型を模することになる。型とは、製作システムの象徴だ。単に形を縮尺して模するのではない。型を模する。それがモデル、すなわち模型だ。そこがわかっとらん連中がごまんといるんだ。形にこだわることはただのコピィだな。そこにあるものは、想像力の貧困さと、単なる妄想だけだよ」


この人はほんとにいろいろなことを考えるなぁ、と思います。上記のことに関してはほんとに興味深く読ませていただきました。
このほかに主題にあがっていた、「人間はどこまでが一つなのか」「異常とはなにか、正常とはなにか」という問いについても面白く読ませていただきました。
 事件そのものについては本当にこの人はこれが好きだな、と思いながら解決編を読んでいました。
 …はい、今回も見事に騙されました(汗
 しかし今回は事件そのものよりもキャラクタがよかったですね。犀川先生は最後の最後、かなり熱かったですし、国枝桃子に関する珍しいシーンもみれましたし、登場してくるキャラクタは全員濃かったですし。楽しめたのでよかったです。


 さて、このシリーズもあと1冊です。