明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。3巻感想

あらすじ。
生まれつきの恐い顔のせいで、学校で浮きまくっている坂本秋月。
彼はある夜、見ず知らずの美少女の事故現場に遭遇し、謎の人物から究極の選択を迫られる……。
『お前の寿命の半分で、彼女の命を救ってやろうか?』
秋月は寿命と引き換えに少女"夢前光"を救った、はずだったのだが……なぜか彼の体は1日おきに光の人格に乗っ取られてしまうというおかしな展開に!
始まってしまった二心同体の交換日記ライフ。イタズラ好きな光の人格は、トンデモな事態や人々を次々に引き寄せ、秋月の低空飛行人生を一変させていく!
しかし、光の過去を知る超絶イケメン君の登場によって、風雲急を告げる大事件へと発展してしまうのだった────。
交換日記の中でしか触れ合うことのできない「ぼっちな俺」と「残念な彼女」の、人格乗っ取られ型青春ストーリー!


あらすじを読んでもらえばわかるかと思いますが、この主人公はヒロインに決して会えません。
ヒロインのことを知るには「交換日記」のみです。
前も書きましたが、これがこのシリーズの面白さの肝です。
この作者は見事、読者相手にもそれをやってのけました。
ヒロイン視点を一切入れず、主人公視点だけでこの物語をやってのけ、しかも、ヒロインを非常に魅力的に描写してくれました。最後の最後までそれをやり通したのはほんとにすごいです。
個人的には夢前光視点も番外編とかでちょっと欲しかったかな、と思うのですが、それをやるとほんと台無しになるんですよね…。
非常に難しいとおもわれるこのことをちゃんとやってくれてよかったです。
3巻で登場したのは、主人公と同じ、入れ替わり現象が起こっている人の話。名前は月村千秋(女性)。
中に入っているのは、日向隼人(男性)。
基本的に、坂本秋月×月村千秋であり、夢前光×日向隼人で交流できる、超特殊なボーイミーツガール。
夢前光以外、「寿命の全てで相手を蘇らせることができる」ことをわかっている者どうしのつきあいです。*1
今までと同じくらい、月村千秋も濃いキャラで、ほんとたのしかったです。どんなキャラかはぜひ読んでください。
もちろん2巻までに登場したキャラも濃い濃い。
3巻で木下薫は、秋月とキスするし、美紗貴ちゃんとかすみちゃんがであってしまう、ということが起きて、それはもう大変なことになりますし、それらを引き起こした夢前光は、
『坂本くんは怒らないよね、というより、怒れない理由があるもんね』と2巻までより振り回すしw


最後は、TRUEエンドというより、ギャルゲでいうところのノーマルエンドかな、といったような終わり方でした。
全3巻で短いですし、興味があったらぜひ読んで欲しいシリーズです。


以下ネタバレ感想
最初っからこのおわりを提示していたんだよな〜、見事。
3巻P297。
「言ったのです、急に『明日、ボクは死ぬ。君のお兄ちゃんは生き返る。だから安心していいよ』って。考えたのですけど、全然意味がわからないのです」
夢前光の一人称が『ボク』だったんですね・・・。これはほんとに見事。
ってかきづいてもよかったんだよなぁ、僕は友達が少ない、で、主人公が僕って一人称じゃないというネタを経験しているのに・・・わからなかったorz


あとこれ、どこまで意図したのかわからないですが、P244からの時間の立ち方が見事です。
あっという間にクリスマスになり、あっというまにバレンタインがすぎ、一年が経ち、夢前光との別れを迎える。
大好きな人との1年はほんとに短いものですし、主人公の心情をうまく表していたなと。
P222を読んで、444日という文字をみたとき、次巻がある、と本気で喜びました。もちろん、主人公が日数について嘘をついている可能性は考慮しましたが、結構あとだろうと。
まだクリスマス、バレンタイン、ほかにもたくさんイベントがある。これはまだまだ続く、少なくとも4巻までは続くとほんとにテンションがあがりました。
でも時間はほんとにあっという間に過ぎて読んでいる最中、喪失感がほんとに大きくなっていきました。
・・・もうほんとどこまで感情移入してるんだ、って自分でも呆れるんですけどね(汗
でもほんとにここまでのめり込んだシリーズは久しぶりでした。
よかったです。


あと某所で、アトリエの少女=保健室の先生、という意見をみて、なるほど、と感心したり。
確かにその可能性はあるよなぁ。



あとは細々と。
P27 死ぬほど笑ったw坂本君のむっちゅりすけべっ。
P31 そうじゃねぇんだよっ、とつっこんだ、ってか夢前光が好きなのによくこんなんかけんなw>主人公
   ・・・ってか光的には、かすみちゃんと美紗貴ちゃんと会うってのはどういう心境なんだろ。
P35 貴重な父親登場シーン。
P38 今回、妹の出番少なかったなぁ、このシーンインパクトがあったけど
P47 ダメだこの姉妹wwwってか姉がほんとにダメだなw
P65 知り合いの増やし方がひでぇw
P108 まさかのもぴりん再登場w
P228 旅行の夜×残念極まりないメンツ×王様ゲーム×夢前光・・・うん。これもうだめだw
P258 待ちに待った、シーンなんだけど・・・うん、辛いね、いろいろ。陽菜子さんの出番はほんと少なかったな、今回。
P261 やっぱりこのときになると、妹が、あの小説の作者だって、光はきづいているよねぇ、同人誌を一緒に作ったってことは。それともとっくに気づいていて知らないふりをしていたのか…。
   あと1巻P76の詳細まだ聞いてないんですが、それは。
P299 いきなり年月が3年たつと、なんか続きはないって止め刺された気分なだよね、うん(汗。そしてまさかの宮本春美登場。・・・5巻までとかでたらもうちょっと出番あったのかな、と。


まぁこんなもので。ラストシーンの解釈は、まとまっていないので略。
あとこのシリーズは色々妄想させてくれますね。
純粋な疑問として。
ほんとにほかの人は、入れ替わりに気づいていなかったのか。
特に妹。
3巻では主人公はなんども神奈川にいっています。どう考えても不審な行動です。それをあの妹が見逃すでしょうか?
しかも作中にそのことを聞いたような描写もないですし。
それに最終巻になって、夢前光の一人称が主人公と違うということが判明しましたし、一日おきにテンションが超変わります。多重人格くらいは疑われそうな気がしますし。
そんなことを妄想してみると楽しいです。

*1:夢前光がわかっていなかった、という証拠はないですが。坂本秋月がノートにかかなかったように、光がわかっていても、ノートに書かなかった可能性がある